TAKE IT EASY「気楽にくつろぐ」

「Take it easy」という言葉は、20世紀初頭のアメリカで生まれた、ごく素朴な言い回しだった。当時、労働者たちの間では、別れ際に「気をつけて」「無理をするな」という意味を込めて、互いにこの言葉を掛け合う習慣があったという。深刻な激励ではなく、軽く肩を叩くような、ささやかな気遣いの言葉。

やがてこの言葉は、ブルースやジャズが生まれた南部の文化の中で広まり、単なる別れの挨拶を超えて、「気負わず、なるようになる」という生き方そのものを表す言葉へと育っていった。何かを頑張れと鼓舞するのではなく、頑張りすぎている誰かの肩の力を、そっと抜いてあげるための言葉。

面白いのは、この言葉が生まれた背景にあったのが、決して余裕のある暮らしではなかったという点だ。厳しい労働の合間、限られた時間の中で、それでも人々は互いにこの言葉を掛け合うことを忘れなかった。忙しさは、今も昔も変わらない。だからこそ、いつの時代も、この言葉は必要とされてきた。

一日中、気を張り続けている必要はない。ほんの少し立ち止まり、何も生み出さない時間を過ごすことにも、ちゃんと意味がある。そんな時間を支えるのにふさわしい味。

気楽にくつろぐ。自分で自分を労おう。