Forbidden Mariage of Coffee and “Wagashi”
コーヒーが先か、あんこが先か。最高のマリアージュを求めて
和菓子に合わせる飲み物といえば、抹茶や緑茶だと思い込んでいないだろうか。そんな思い込みは今すぐ捨ててほしい。和菓子はコーヒーの最高のパートナーになりうる存在だ。
食材の香りや味と相性の良い、お互いに良さを引き立て合う組み合わせのことをペアリングやマリアージュと呼ぶが、コーヒーと和菓子もまさにこうした関係をつくることができる。食べ物の相性を数値で測れる「味覚センサー」によると、ワインと牛肉の組み合わせよりも、コーヒーと和菓子のほうがポイントが高かったという。科学的にも証明された相性の良さなのだ。
相性抜群の筆頭格は「あんこ」。どんな味わいのコーヒーでもあんこは懐深く受け入れる。たとえばコク深い重厚なコーヒーには、桜もちがぴったりだ。コクと塩味が絶妙にマッチし、さわやかな甘みが追いかける。もちろん、どら焼きもベストマッチな組み合わせだ。水ようかんのような水分の多い軽やかな甘みには、アイスコーヒーがしっくりくる。
なぜこうも相性抜群なのか。コーヒーと小豆という、同じ豆であることも大きいのかもしれない。仲間同士、相性が合わないわけがない、といっては言い過ぎだろうか。
そもそも、同じ甘味でも、洋菓子より和菓子のほうがコーヒーとの相性がいい。その最大の理由は、コーヒーの味を邪魔しないということ。洋菓子に使われる生クリームやバターなどの脂肪分は、食べたときに舌に油膜をつくる。すると、味に鈍感な舌となってしまう。和菓子であれば、糖分以外、動物性の脂肪分は入っていないため、コーヒーの味わいを損なうことなく楽しめる。
コーヒーは産地や焙煎具合、抽出方法によって、味わいが変化していく。それこそがコーヒーの面白いところ。これを邪魔してしまっては元も子もない。「コーヒー×和菓子」はまさに、お互いのよいところを引き立て合うペアリングの真髄が詰まった組み合わせなのだ。
では、和菓子に合うコーヒーはどのようにして選んだらいいのか。ここではポイントを押さえておこう。インドネシアのスマトラ島で栽培されるマンデリンのように、酸味が控えめでほろ苦いコーヒーは甘みのある和菓子が合わせやすい。苦味は甘みを引き立てるからだ。まんじゅうのようなボリューム感のある和菓子には、酸味のあるコーヒーを合わせると、後味がすっきりと軽くなる。グアテマラなどがいいだろう。
焙煎度合いでいえば、深煎りがおすすめだ。香ばしい香りと苦味が加わり、和菓子とのバランスがいい。酸味が引き立つ浅煎りは、分厚い生地に包まれた豆大福と合わせると、最後まで重さを感じることなく、すっきりと味わえる。
無限大の可能性が広がる和洋折衷のマリアージュ。禁断の世界に足を踏み入れてみては。