Do you know Specialty Coffee?

「スペシャルティコーヒー」を知っていますか?

「スペシャルティコーヒー」と耳にする機会が増えた。しかし本当のところよくわからない人も多いのでは。一体どういったものをスペシャルティコーヒーと呼ぶのか。

そもそもスペシャルティコーヒーとは、豆の種類をあらわす言葉ではない。簡単にいうと、豆の品質や流通などを含め、生産から消費まで追跡可能であること、さらに一定以上の品質と認められた豆の総称である。“概念としてのコーヒー”なのだ。

スペシャルティコーヒーには、生豆生産の段階から品質管理レベルが非常に高く、一定のトレーサビリティ(追跡可能性)が求められている。つまり、「どこで・誰が・どのようにして」つくったかがわかるということ。品質の高い生豆をつくるためには、加工工程の品質管理がとても重要であり、レベルの高い生産者になると、畑の区画・品種を指定して収穫し、生産処理、乾燥にいたるまで詳細にコントロールしている。そうしてつくられた豆には、結果として生産・加工にかかわる情報すべてが詰まっているというわけだ。

今でこそ沖縄の一部などでコーヒー栽培が始まっているものの、基本的にコーヒーは日本でつくることのできない農産物のひとつだ。適切かつ持続的なコーヒー栽培が実現されるためにも、生産者たちには適切な対価が支払われる必要がある。

かつて大量消費時代は、コーヒー豆を安く仕入れてコーヒーを安く供給することが一番とされてきた。低価格競争下では、コーヒー生産者の暮らしはいつになっても貧しいまま。それによって、担い手も減り、品質も悪化……。そうした反省を踏まえ、コーヒーそのもののあり方を見直すためにスペシャルティコーヒーという概念が生まれた。

スペシャルティコーヒーは、消費者だけでなく、生産者にもメリットをもたらすコーヒーであることが求められている。人々にコーヒーを提供する者には、その責務が課されていると言っていいだろう。

生産者や農園を守ることによって、サステナブルな生産体制がつくられ、結果、高品質な味わいへと進化している。スペシャルティコーヒーにとって「おいしい」ことは、もっとも重要な要素である。風味、酸味、甘みなどの味の構成要素が一定水準以上であるためには、生豆、焙煎、抽出のどの工程でも高い品質と技術がないとそれは達成されない。「From Seed to Cup(種からカップまで)」という言葉は、スペシャルティコーヒーを象徴するものだ。

日常に欠かせないコーヒーがどんなふうに育てられ、どういった経路で自分の手元に届いているのか。そういったストーリーに思いを馳せること——。スペシャルティコーヒーは、味わいのその先までも見通せる世界をも提示してくれる。

自然の奥深さや偉大さを感じつつ、素晴らしいコーヒーの存在に感謝しよう

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